ケンゾー・ヒロコ

今日たまたま僕の好きな格闘技・プロレスサイトを巡回している中でとあるサイトに釘付けとなった
http://t.pia.co.jp/battle/column/hiroko.html
鈴木健想というプロレスラーの奥さんで彼がWWEに参戦中ディーバ(白塗りのゲイシャガールのギミック)としてリングにも登場したことがある女性だ。その中で描かれている彼女ら夫婦の境遇と心境がとても興味深かった。そもそも鈴木健想というレスラーは、他のプロレスラーとは違った観点で興味をもっていたレスラーの一人だった。名門明治大学ラガーマンとして大学時代注目を浴び、どこかは忘れたがどっかのマスコミに就職、しかも局アナの彼女つき。ってことで他のものからすれば考えられないほど勝ち組コース、なわけだが、一転新日本プロレスに入団。ここまではいい。当時の新日のメジャー度合い、入団当初の脚光の浴びようを考慮すれば、まあそれなりに今頃団体のエースになってステディーな活躍をしてたのではと思う。ただ、プロレス不況のあおりも受けて新日退団→WJ参戦も鳴かず飛ばずで消滅→WWE入団→解雇→フリーで転々と・・・すっかり(他の大多数のレスラーにも共通することだが)保証のない行き先不安定な人生となってしまった。
超個人的主観だが、まだそれほど彼自身色のあるレスラーではないという印象で、WJの短期消滅も容易に想像できた。WWEでもヒールキャラだし、そんなに長くは持たないだろう。奥さんもディーバにさせられるのも時間の問題だろう。その後のレスラーとしてのストーリーはどうなるのだろう。なんて不安を残念ながらこれまでのところものの見事に体現していた。単に僕が日本人だからか、個人的注目レスラーの一人であったからか、どうもWWEでのヒールキャラ、ヒロコのディーバには抵抗を覚える部分があった。そうなることは彼らの思惑(僕が彼らの思惑を知っていたわけではないが、勝手に知ったつもりになって)とは裏腹に不可避であったことはある程度明確であったし、なんというか「やらされてる」感を感じてしまい、素直に感情移入できなかった。(ちょうど、AVとかみていて「この娘、ほんとはアイドルとか女優目指して上京してきたんだろうに・・・」と思って引いてしまう感じに近い。あまりいい例えではない。)というわけで、勝ち組から負け組みへの転落人生の典型のような印象で捉えていて、そういう部分でがんばってほしいレスラーでもあった。僕は基本的にレスラーは好きだ。
ただ、今日彼女のコラムを読んで、浮かばれる部分もあった。自分自身の境遇になぞらえて共感させられる部分もあった。そして自分自身の立場と比較してはっとさせられる部分もあった。そのせいか軽くブルーな一日をすごしている。100回を超える文量の比較的多い連載だが、食い入るようにゴースルーしてしまった。
ストーリは直接サイトを参照してもらいたいと思うが、まず浮かばれたこととしては、彼らは真面目に前向きにプロレスラーを演じていること、そのことに正面からトライしている夫婦であることだ。正真正銘のスポーツといえるわけでもない、時にマイナスイメージな見せしめ的要素の不本意な露出せざるを得ないこともあるこの業界に真摯に取り組めているところが好感を与え、より一層ファンになった。ただの夢追い人ではなく、腰をすえて挫折を味わいつつも真剣に自分たちの生き方の方向性、夫婦のあり方をちゃんと考えていてくれてて(「くれてて」なんていうとめちゃくちゃえらそうだが)よかった。また、過去の名声、将来の安定を捨てて、海外で0から生活を築いていく姿なんて、スケールは限りなく小さいが、同じく今年から海外生活を始めた自分の境遇になぞらえる部分もあったりして勝手に共感していた。逆に自分のスケールの小ささを改めて実感してちょっと悶々としたものを感じたりもした。そしてなんかそういう感覚を記録に残してみるかなという感じで、これまで再開しようと思いつつなかなかしなかったブログを書いてみるかなとおもった。うすっぺらいかな。オレ。

とにかく、今彼はメキシコで修行中(近々日本でインディー団体のマッチにピンポイントで出場予定)、いつまで続くかわからないが今のところメキシコでは順調に活躍しているようだ。数年後、トップレスラーとして化けることを期待したい。そしてそれまで見続けていたいと思った。